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最高経営責任者

英国ビジネスへの今後の地政学的影響—スミス・アンド・ネフュー会長 ルパート・ソームズ氏の講演から

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ロンドンのドーチェスター・ホテルで当社が主催した「経営トップ年次晩餐会」において、英国産業連盟(CBI)会長 兼 スミス・アンド・ネフュー会長であるルパート・ソームズ氏OBEが講演しました。

晩餐会には各界から200名を超える企業の会長・CEOが集い、英国および世界の経済・地政学的環境、そして産業界と財界が直面する課題に焦点を当てた議論が交わされました。

拡大する地政学リスク

ソームズ氏は、広範な地政学的環境について見解を示しました。国防と安全保障に関しては、欧州諸国は米国の多大な社会支出や支援から恩恵を受けており、欧州の平和と安全は、欧州にまで及ぶ米国の巨額な防衛費に大きく依存してきたのだと指摘しました。

現在の状況は、欧州諸国が防衛分野で一層の責任を担う必要性を物語っています。

コロナ禍の経済的影響により、欧州全体の債務水準は既に高まっています。高齢化や出生率の低下といった人口統計上の課題と相まって、防衛費の増加は欧州と英国の双方にとって重大な政治的・政策的課題です。

国際情勢における英国の地位

グローバルな貿易プラットフォームにおいて、英国が今後どのようにその地位を強化していくべきかについても、ソームズ氏は展望を語りました。英国は逆風を乗り切るために、効率的かつ効果的に適応しなくてはなりません。

自由貿易国としての英国のアイデンティティは、200年以上にわたって形成されてきたものです。英国は、産業と貿易を経済の中核に据え、イノベーション、実用主義、グローバル・エンゲージメントで評価を得てきました。

現在の国際情勢においては、英国はその歴史的な強みである、ルールに基づいたアプローチの遵守、信頼性、貿易奨励、イノベーションへの積極性、賢明な規制、実践的な意思決定を活用する機会を有しており、信頼できるビジネスパートナーとしての立場を強化しています。

不確実な国際情勢の中で、英国は長期的な成長に貢献する分野、特にネット・ゼロへの計画策定、規制、移行支援において前進を遂げています。

直面する課題と今後の展望

ソームズ氏の祖父であるウィンストン・チャーチルはかつてこう言いました。「民間企業を、狩るべき獲物として見なす者もいれば、搾取すべき乳牛と見なす者もいる。だが、荷馬車を引く逞しい馬として見る者はほとんどいない」
英国が現在直面している2つの重大な課題についても検討がなされました。1つは、コロナ禍以降の累積赤字であり、その利払いは現在、年間1億ポンド(約187億円)と国家支出項目の中でも特に急増しています。2つ目は、英国の就労年齢人口の20%以上、すなわち約900万人が現在無職であることです。

現在の債務水準では、少なくとも2%の経済成長がなければ、大幅かつ継続的な増税または政府支出削減が不可避となります。この問題の解決策として、投資主導の経済成長が期待されています。
また投資懸念に対処するため、雇用権利法案には多くの雇用主が支持すると思われる条項が含まれています。現在起草中のこの法案は、なお調整の余地があります。

英国は長期的な繁栄を見据え、歴史的な強みと適応力を活かしながら経済課題を克服し、国際貿易における地位を堅持していかねばなりません。

オジャーズ ベルンソンは、ルパート・ソームズ氏の素晴らしい講演、そして自由闊達で深い議論へのご参加に心より感謝いたします。


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